こんにちは、中村です。
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少し高い服を買うかどうか迷っているとき、頭の中で理由を並べていることがあります。長く着られるから。仕事の日にも着ていけるから。安いものを何枚も買うより、結局は得だから。
どれも、うそではありません。でも、その服を最初に見た瞬間に思ったのは、たぶんもっと短いことでした。かっこいい。これ、着てみたい。
今回は、その「着てみたい」と「長く着られるから」の話です。
気持ちが先で、理由はあと
車を選ぶときも、似たことが起きます。燃費がいい、安全性能が高い、荷物がたくさん積める。どれも大事なことですが、休みの日に家族で遠くまで出かけたい、という気持ちがなければ、販売店まで足を運ぶ気にはなりません。
説明を聞いたから欲しくなる、というより、欲しくなってから説明を探している。そんな気がします。感じて、欲しくなって、それから理屈で自分を納得させる。買い物のとき、この順番はけっこうよくあります。
欲しい理由と、買っていい理由
そう考えると、何かを買うまでには、二つの理由が要ることになります。
ひとつは、欲しい理由。こんな暮らしがしたい、こんな自分でいたい、という気持ちのほうです。
もうひとつは、買っていい理由。このお店なら大丈夫そう、この値段には理由がある、この人になら任せられる。迷いや不安を、そっとほどいてくれるもの。
欲しい気持ちだけだと、最後にちょっと不安が残ります。理由だけ並んでいても、気持ちは動きません。両方そろったときに、人は安心して決められるのかなと思います。
冬の朝の、布団の話
たとえば家の話で考えてみます。
家を建てる会社の資料には、断熱の性能を表す数字が書いてあります。UA値0.46、というように。小さいほど熱が逃げにくい家、という意味の数字です。とても大切な数字ですが、これを見て、自分の暮らしが浮かぶ人は多くないと思います。
同じ家を、冬の朝、布団から出るのが嫌じゃない家、と言われたらどうでしょう。寒い季節の朝を思い出して、それはいいな、と思う人もいるはずです。そう思ったあとなら、なぜ暖かいのか、どんな断熱をしているのか、という説明にも、自然と耳を傾けたくなります。
家の性能は、どちらでも同じです。変わったのは、話す順番でした。
自分の「欲しい」を、ときどき思い出す
お店をしている人や、何かを作って届けている人は、自分のものの良さをよく知っています。だからこそ、つい説明から話したくなります。
そういうときは、自分が最近、何かを欲しいと思った瞬間を思い出してみるといいのかもしれません。そのとき最初に心が動いたのは、説明だったのか、それとも、それを使っている自分の姿だったのか。
次に何かを買うとき、「欲しい」と思ったすぐあとで、自分がどんな理由を探し始めるのか、少しだけ気にしてみてください。人に何かを伝えるときのヒントが、そこに見つかると思います。



