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困っています、とは誰も書かない

こんにちは、中村です。

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何かを探してお店に問い合わせるとき、困っていますと書くことはあまりないと思います。書くのはたいてい、ふだんの暮らしで起きている場面です。今回は、そんな問い合わせの文面からお店の見出しが生まれる話です。

塾を探している保護者の文面

仮の話で、町の小さな学習塾を思い浮かべてください。春の生徒募集の時期に、保護者の方から問い合わせが届きます。

部活が夜七時まであるので、そのあとからでも通える塾はありますか。

うちの子は、わからないところがあっても先生に聞けないタイプです。

家で数学を見てきましたが、中学の内容になって、もう私にはわかりません。

三つの文面に書かれているのは、夜七時までの部活と、先生に質問できない性格と、家で教える限界です。どれも暮らしの中の出来事で、「困っています」という言葉はどこにも使われていません。

「成績を上げたい」の下にあるもの

「成績を上げたい」は、最初に口にする表の要望です。その下には、毎日の中で時間や気持ちがすり減っているところがあります。

面談で「塾に通うようになったら、何が変わってほしいですか」と聞いてみます。すると「夜、宿題のことで親子でけんかしなくなってほしい」という答えが返ってきたりします。「この一か月で何回くらいありましたか」と続けると「週に三回くらい」。「いまは誰がどうしていますか」と聞けば「夜、私が隣で教えています」。

本人もまだ言葉にしていないことが多いので、こういう話は広告の見出しにはなかなか出てきません。

美容室の口コミにも

美容室でも同じようなことが起きます。お客さんが最初に言うのは「似合う髪型にしてほしい」です。けれど口コミを読んでいくと、ここまで切らないでと頼んだのに短くなってしまったという前のお店での話が、ときどき混ざっています。

その声から見出しを作ると「切る前に、鏡の前で長さを一緒に決めます」になります。髪を思ったより短くされてがっかりした経験がある人なら、おしゃれな髪型という言葉より、こちらに目が止まると思います。

自分のことだと思えたら

塾のチラシなら「部活が七時に終わってからでも、間に合います」。この見出しを見た保護者の方は、そうそう、うちのことだと思うはずです。

そう思えた人は、今すぐお申し込みをと急かされなくても、問い合わせるかどうかを自分で決めていきます。決めるのは、読んだ人のほうです。

お店の側でできること

お店をしている方なら、届いた問い合わせの文面を読み返すところから始められます。お客さんが使った言葉を言い換えずに書き出していくと、同じ場面が何度も出てくることがあります。

その言葉がいまのチラシやホームページの見出しに一度も出てこないなら、見出しに使える言葉は、もう手元に届いています。