こんにちは、中村です。
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スーパーやコンビニの棚の前に、似たようなものがずらっと並んでいる。そういうとき、何を見てひとつを選んでいるのでしょう。値段を見て、名前を見て、箱の絵を見て。そんなに時間をかけずに、ひとつを手に取っている人が多いと思います。
今回は、その手に取るまでの、ほんの数秒の話です。
名前を見て、使うところが浮かぶか
ネピアの鼻セレブというティシュがあります。花粉の季節にお世話になっている方も多いと思います。
この商品、もとはネピア モイスチャーティシュという名前で売られていたそうです。使った人からの評判は良かったのに、なかなか広がらなかった。モイスチャーという言葉を見ても、何がいいのかはすぐには浮かびません。棚の中でも、目に留まりにくかったのかなと思います。
そこで名前が鼻セレブに変わって、箱にはウサギやアザラシのような、白くてふわふわした動物の写真が大きく入りました。鼻をかむときにやさしい、少し上等な紙だということが、箱を見ただけで分かるようになりました。
紙そのものが急に変わったのではありません。もともと持っていた良さが、棚の前で見える形になった、ということなんだと思います。
板チョコの棚で、ひとつだけ色が違う
僕はチョコレートがすごく好きです。夏はあまり食べないのですが、これから秋、冬にかけては、ずいぶんお世話になります。
板チョコの棚には、手ごろな値段のものがたくさん並んでいます。その中で、明治のザ・チョコレートは、ほかの板チョコよりずっと高い値段で並びました。ふつうに考えたら、割高に見えてもおかしくありません。
いまの箱は、それまでの板チョコとまったく違います。クラフト紙のような色で、真ん中にカカオの実がひとつ。味の説明も、甘いか苦いかではなく、香りや酸味、カカオの産地の言葉で書いてあります。2016年に箱と形をがらりと変えてから、ぐっと売れるようになったそうです。
甘いおやつとして手に取っていた板チョコが、今日はどの産地にしようかと選ぶものに変わる。値段を下げて選ばれたのではなくて、選ぶ理由のほうが新しくなったんだと思います。
カレーライスじゃない、と言われたカレー
日清食品のカレーメシにも、僕はたまにお世話になっています。
これも、もとは日清カップカレーライスという名前の商品だったそうです。ところが、最初からカレーとご飯が混ざっているので、これはカレーライスじゃない、という声が届いた。
カレーライスと聞くと、僕たちは白いご飯にルーがかかったお皿を思い浮かべます。その絵を思い浮かべたまま食べると、混ざっていることが残念なところに見えてしまう。
そこで発売から半年ほどで名前がカレーメシに変わって、ルーでもレトルトでもない、別の食べものとして並び直しました。はじめから別の食べものだと思って食べれば、混ざっているところは、そのまま、この商品ならではのおいしさになります。
手元にあるものの名前を、読み直してみる
三つとも、中身の良さが足りなかったのではありませんでした。作っている人にとっては当たり前の良さが、初めて見る人には、まだ届いていなかった。
お店をしている人や、何かを作って売っている人なら、並んだときに、名前と箱だけで良さが分かるかを一度見てみるといいかもしれません。自分では見慣れすぎていて、分からなくなっていることがあります。家族や友だちに、何の商品だと思うか聞いてみると、思っていたのと違う答えが返ってくることもあります。
次に棚の前に立ったとき、自分がどこを見て手を伸ばしたのか、ちょっとだけ気にしてみてください。名前だったのか、箱の色だったのか。選ぶ側の自分が、いちばん正直に教えてくれると思います。



