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唯一無二の一杯
mochi cafeオーナー・焙煎士 長島勇さん

PEOPLE|2024.11.29

豆と向き合いつくる
唯一無二の一杯
mochi cafeオーナー・焙煎士 長島勇さん

tone cafeで提供しているコーヒーやエスプレッソのコーヒー豆は、千葉県内でスペシャルティコーヒー専門店「mochi cafe」を経営する長島勇さんにブレンド・焙煎していただいています。

長島さんがカフェをオープンした経緯やコーヒーに対するこだわり、そしてこれから目指す道についてお話しいただきました。

原点は缶コーヒー

「中学1年生のとき、微糖の缶コーヒーを飲んでみたら苦味がありつつも香ばしくておいしいと思ったんです。それが、コーヒーの魅力に気付いたきっかけでした。」

中学1年生のときに缶コーヒーの魅力に気がついたという長島さんが、コーヒーに本格的にのめり込み始めたのは20歳を過ぎた頃のこと。都内のお店で初めてブラックのアイスコーヒーを飲んでみたことで、コーヒーに対する自分の価値観が大きく変わったのだそう。当時コンビニで社員として働いていた長島さんは、コーヒーの道を志すことにしました。

まずは通信教育でコーヒーに関する資格を取ったという長島さん。申し込んだ講座の題材がサイフォンコーヒーに関するものだったため、修行のためにまずはサイフォンを使っているお店で働いてみたいと思い、当時船橋市にあったサイフォンコーヒーのお店で2年間働いたそうです。

働いているうちに、サイフォンで淹れたコーヒーがおいしいのにさほど普及していないことに疑問を抱きます。サイフォンコーヒーの魅力をもっと多くの人に知ってもらいたいと思うようになった長島さんは、思い切って独立の道を選ぶことに。

「僕は何かに縛られるのがもともと苦手で・・・時間に縛られたり、やりたいことが自由にできなかったりするのが嫌だったんです。できるかぎり自由な形でお客さんに喜んでもらえるものを作っていきたいと思い、自分のお店を出すことにしました。」

そして、サイフォンコーヒーの魅力を広めるためにあえて“移動販売のお店”として、2017年の12月にmochi cafeをオープンしました。

もっと柔軟に、おいしいコーヒーを提供したい

おいしいサイフォンコーヒーを淹れるために必要不可欠なのが、コーヒー豆の調達。開業当初はコーヒー豆を専門店から卸していた長島さんでしたが、2年目に入るタイミングで自家焙煎を始めました。

「移動販売は鮮度が第一です。コーヒーを他のお店から仕入れる形だと、自分の出したい鮮度のものを常に出せないというのがネックで・・・。自分で豆のブレンドや焙煎ができれば、鮮度も保てる上に自分の出したい味で豆を作ることができて、もっと幅広いバリエーションが出せると思ったんです。」

始めは家で手網とフライパンを使って焙煎に挑戦していたものの、なかなかうまくいかなかったという長島さん。その頃ちょうど、「椿屋珈琲」のある店舗がロースターの募集を出しており、修行のために焙煎士として働くことにしました。その店舗には焙煎で日本チャンピオンを獲った焙煎士がいたため、週の半分以上は椿屋珈琲で働きながら焙煎の勉強をしつつ、それ以外の日に移動販売のお店を開くという生活を2年半ほど続けたのだそう。

移動販売のお店としてスタートしたmochi cafeですが、現在は千葉県野田市に拠点を定めて営業しています。

「野田の環境が僕自身に合っていたというのもありますし、公園やキャンプ場が近くにあるので、遠方から、中には海外からのお客さまが来てくださることもあるんです。だから、下手に自分が移動するよりもここに留まっている方が幅広い層の方に飲んでもらえるんじゃないかと思い、拠点を絞ることにしました。」

▲白地に黒いロゴをあしらったキッチンカー。現在は千葉県野田市にて営業。

豆と向き合い、豆と対話する

「スペシャルティコーヒーの良質な酸味とフルーツのじゅわっとくる甘さを、焙煎とサイフォンの抽出で生かしてあげたいんです。」

同じ豆でも焙煎の方法や淹れ方でその風味はまったく違うものになると語る長島さん。その豆が持つ魅力を引き出せるよう、一般的な焙煎方法とは異なる方法で焙煎をしています。一般的な焙煎の場合、ゆるやかに水分を抜いてゆるやかに温度を上げる方法で焙煎していくのですが、長島さんの場合は豆の水分を極力抜き切って、高火力で圧力を一気に加えて風味を出しているのだそうです。水分をじっくり抜いて豆にストレスをしっかりかけ、高火力で熱を加えることで豆が驚いてさらにストレスがかかります。火力を落とすときもゆるやかにではなく一気に。そうすることで、豆がより締まるのだとか。

言葉で見るとトリッキーな感じがしますが、豆にあえて負荷をかけることで、風味や香りが出やすくなるのだそうです。

「サイフォンは香りが強く出る器具なんです。だからこそ、それを生かした焙煎をしたいと思っていて。焙煎と抽出を合わせてやっと完成するように作っていますね。」

長島さんの焙煎にレシピはありません。書面やパソコンでデータをとっていると、豆の小さな変化を見逃してしまうから。とにかく豆と向き合い、豆と対話しながら焙煎をすることが、何よりも大切です。

仕事であり、趣味でもある。コーヒーを愛し続けるために

「コーヒーをお客さまに売るためのものだと思うのではなく、自分も趣味として楽しんだ上でお客さまにも共有したいと思っています。」

好きなことを仕事にした結果、趣味ではなく“稼ぐための手段”になってしまうケースもあるかもしれませんが、長島さんの場合は違います。仕事にしているからこそ、“コーヒーを嫌いにならないこと”を何より大切にしていて、焙煎すること、抽出することを作業にしないように心がけているのだそう。焙煎レシピを作らないのはその思いの現れとも言えます。

コーヒーを趣味として楽しむため、仕事の時間は長く取りすぎないようにしているという長島さん。仕事中とそれ以外の時間を切り替えられるように、さまざまな角度でコーヒーを楽しんでいます。たとえばコーヒーを淹れるときは、お店でいつもサイフォンの抽出を行っているから、家ではハンドドリップにすることが多いのだとか。

「今はコーヒーの水羊羹を作ろうかなと思っていますね。コーヒーを使って日々の暮らしを楽しめるように日々考えているところです。」

これからはmochi cafeの価値をより一層高め、その存在をもっと多くの人に知ってもらうため、サイフォンコーヒーの競技会で優勝することを目指しているそうです。

“一人でも多くの人に香り豊かなサイフォンコーヒーを。”
そんな想いで、今日も誰かにこだわりの一杯を提供しています。

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