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PEOPLE|2025.1.14
Contents
東京都内の「PetSalon ちょこっと」で、犬の食事療法上級師範兼トリマーとしてわんちゃんと向き合う宮原志保さん。
見た目だけではなく食事を中心とした生活習慣を整えることで、わんちゃんと飼い主さまの心と健康をサポートしています。
tone villageのドッグサロン「sora to kaze」ではそのコンセプトに共感し、宮原さんをお招きして「わんちゃんのお食事相談会」を企画しました。
(お食事相談会の詳細はこちら)
今回は宮原さんにインタビューを行い、食事療法に出会うまでの経緯や、わんちゃんと向き合う上で大切にしていること、これからの展望などをお伺いしました。
宮原志保(みやはら しほ)
犬の食事療法上級師範/トリマー(PetSalon ちょこっと)
いま、私はPetSalon ちょこっとで運営に携わりながらトリマーとして、犬の食事療法上級師範として、わんちゃんと向き合う日々を送っています。
最初からトリマーになりたかった、というよりは動物全般が好きだったので、漠然と動物園の仕事に憧れがあって。そのため幅広く学べる3年制の動物専門学校に通って知識を身に付けていきました。
就職を具体的に考えたとき、動物園は狭き門だったので、より現実的な動物看護師という職業に目を向けたんです。
そして「動物たちの助けになりたい」という想いを持って動物病院で働き始めました。
就職した先は、単に診察診療だけではなくシャンプーやトリミングなども行う、まさに動物の「なんでも屋さん」のような病院。診る動物たちも犬猫といった一般的なペットだけではなく、珍しい小動物やイグアナなどの爬虫類など、本当にどんな動物でも受け入れているところで。カラスなんかも看たことがありますよ(笑)そこでさまざまな動物に触れ、たくさんの経験を積みました。
充実した日々を送っていたのですが、3年ほど勤めた頃に腰を悪くしてしまって。病院勤務を続けることが難しくなったため、一旦仕事を離れて治療に専念することにしたんです。
しばらくして回復してきた頃、ご縁があって新しく開校する動物の専門学校の立ち上げに携わることになります。
それは学校だけではなく、サロン・ショップ・トレーニングといったサービスを網羅した店舗も一緒に立ち上げ・運営して、学びと実践を総合的に行うことを目指した大きなプロジェクト。私にとっても大きな挑戦でした。
そこで学校の立ち上げと、トリマーの教務アシスタントとして生徒さんたちの指導にあたることにもなり、それと並行して店舗を立ち上げて運営もする・・・と毎日が本当に目まぐるしく過ぎていきました。
ここでの経験がいまの私に生きているのですが、特に学内犬たちの存在は大きいです。
50頭以上の学内犬を生徒さんたちと一緒に育てることで、わんちゃんへの理解がより深められて。生活環境を整え食事に気を配ることが健康や行動に影響すること、つまりは基本を大切にすることが一番なのだと改めて認識できました。
トリマーだからトリミングができればいいということではなくて、健康管理やトレーニングなど包括的な知識も備えること、何よりもわんちゃんに優しく接することが必要だと。「生徒さんにもそうなってほしいな」という想いを込めて指導していましたね。
PetSalon ちょこっとのオーナー下山さんは、実はこのときの生徒さんの一人です。
下山さんが卒業しサロンワークを数年経験した後で、「一緒にサロンをオープンしよう」と誘ってくれて。私の考えを吸収し共感してくれた教え子が理想をもって始めるお店に興味があったし、何よりも嬉しかったので、是非やらせてもらいたいと思い、共に開業することとなりました。
いまでこそわんちゃんのお食事相談や生活習慣のアドバイスやトレーニングなど、トリミングだけではなくわんちゃんの包括的なサポートをしていますが、当初は純粋に「トリミングサロン」としてお店をスタートさせました。
けれど、お店を続けてたくさんのわんちゃんと向き合う中で「カットだけでは足りないな、もっとわんちゃんの助けになれないだろうか」と思うことがたくさん出てきて。それで、トリミングが苦手な子にはどうアプローチすればいいのかとか、健康に不安のある子に合う食べものはどんなものだろうとか、いろんなことに目を向けて勉強を始めました。
特に「食」については、専門学校で働いていたときに「手づくりごはん」について勉強して指導していた経験もあったので、どんどん深みにはまっていきましたね。
与えるフードによってわんちゃんの身体が変わるな、というのはなんとなく感覚としてはあったのですが、根拠がないし自信が持てなくて。フードのメーカーの担当者さんや獣医さんにもお話を聞いたりとか、いろいろと調べてはみたのですが、限界を感じていました。
お客さまにわんちゃんの体調や食事について相談されても、自分で理解できていない一般論を伝えるしかできなくて、歯がゆかったし悔しかったです。
そんな時に、ある先生との出会いがありました。
当時、シニア期に入った愛犬が元気がなく体調が良くないことが続いていて。いい先生がいるよ、と紹介されたプラーナ和漢自然医療アニマルクリニックの森先生に診てもらったんです。森先生はわんちゃんを触って臓器や血液などの状態を把握でき、さらにそれを食事を調整して病気を治すという驚きの獣医さんでした!
すると愛犬が、とても調子良く元気になって。食事でこんなに変わるんだ、と衝撃を受けました。
それから、森先生に師事していろいろなことを教わりました。
ずっと悩んでいたことに「これはこうでこうですよ」とどんどん答えてくれるので、「この先生はすごい!知らない世界を知っていて、正解を持っているんだ!」と感銘を受けて。「もっときちんと学んで、私の愛犬やお客さまのわんちゃんのお悩みもお食事で解決したい」そう思い、『犬の食事療法上級師範』の資格を取得しました。
実はその資格も、取得のために受講が必要な講座も森先生が整備したもの。元は製薬会社研究員だった森先生の、薬剤の知識や西洋医学、東洋医学も含めた多方向からの考え方にもとづき、食事療法を科学的論理的にひもといたものです。
経験則や感覚だけではなく、根底に科学があることが私にはすごく魅力的でした。やみくもにやるのではなく、論理的なアプローチで改善に導くという道筋が見えると、自分もお客さまも納得しやすいですよね。
『犬の食事療法上級師範』の資格を取得してからは、お客さまにも食事のことや食事療法について自信をもってアドバイスができるようになりました。それまで一般論でしか応えられなかったお悩みに自分の知識で対応し、きちんと責任をもてるのが嬉しくて。PetSalon ちょこっとでお食事相談を本格的に始めたのもその頃です。
体調改善には、お食事もそうですが生活習慣を整えることが不可欠。飼い主さまの協力がないと成り立たないため、その方のできるレベルに合わせたアドバイスをします。少しずつでも取り組んでもらえればある程度の成果は出るので、そうすると信頼が生まれて続けてくださるんです。
お食事相談だけではなく、トリミングでもわんちゃんのサポートを心掛けています。
トータルケアに興味があるので、その子にとっていかに負担なくトリミングできるかとか、トリミングでお悩み改善できないかとか、わんちゃんの体調に気を配った施術をします。お返しするときには、施術中の様子や気になったことと生活習慣や食事のアドバイスなどを飼い主さまにお伝えしたり。
ありがたいことに皆さんがきちんとアドバイスに耳を傾けて食事や生活を整えてくださるので、顧客さまの中で大きな不調が出ることはほとんどありません。未病というか、荒れる前のサインを読み取ってケアする流れができているんです。
飼い主さまとわんちゃんと、私たちとの信頼関係を築けているのはとても嬉しいです。
いまの目標は、もっとたくさんの人にわんちゃんの食事療法を伝えていくことと、わんちゃんや飼い主さまの助けになる知識や技術を持った人を増やしていくこと。
飼い主さまも、わんちゃんのためにご自身でたくさん勉強していらっしゃるけど、独学だけだと難しい細かい部分もあると思うので。やっぱり頼りになる知識を持つ人が身近にいると安心感が違いますよね。
今回行うtone villageでの出張相談会は、sora to kazeの店長なるちゃんが、愛犬ビビちゃんの相談に来てくれたことがきっかけです。顧客さまにも食事療法について話してほしい、とオファーをいただいて。
最近は、同じような経緯で各地でお食事相談をする機会が増えてきています。
こうして輪が広がっていくのはとても嬉しいです。
これからもたくさんの飼い主さまやわんちゃんの助けになれるよう、もっともっと頑張っていきたいと思います。
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