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デザイン会社なのに、なぜ店をやるのか|やってみてから、手渡したい

こんにちは、中村です。

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「デザイン会社なのに、なんでカフェやネイル、ドッグサロンをやっているんですか?」。tone villageにいると、よくそう聞かれます。今日は、その答えになるような、僕らのちょっと不器用な約束の話を書いてみます。

やってみて良かったことしか、すすめたくない

僕らには、お店とデザインの仕事を続けるなかで、ずっと大切にしていることがあります。それは、「自分たちでやってみて、うまくいったことしか提案しない」。もう、性格みたいなものかもしれません。

きっかけは、「作るだけでは、意味がないんじゃないか」という思いでした。昔は、きれいなホームページを作れば成果が出ると本気で思っていたんです。でも、見た目がよくなっても、それだけではなかなかうまくいかない。作ったときは喜んでもらえても、時間が経つと使われなくなっていく。そんな景色を見てきて、思ったんです。自分がやったことのないことを人にすすめるのは、ちょっと無責任だな、と。

だから、自分たちの店で先に試す

本やネットに書いてあることを、そのまま渡すのは、実は誰にでもできます。でも、自分でやってみると、本に書いていないことのほうが多い。うまくいくと思ったことが空振りだったり、地味だと思っていたことがじわじわ効いてきたり。やってみて、初めて体でわかるんですよね。「大変なのはここか」「お客さんが迷うのは、ここなんだ」って。

だから僕らは、自分たちの店を持っています。お客様に「お店のファンを増やしましょう」と伝えるなら、まず自分たちの店で先にやってみて、うまくいったことだけを、自信を持って手渡したい。tone villageは、僕らにとってお店であると同時に、自分たちの考えを試す実験の場でもあります。店で試して分かったことをお客様に伝えて、そこで生まれた学びを、また店に持ち帰る。この繰り返しが、僕らのお店の続け方そのものです。

売る場所じゃなくて、育てる場所

僕は、お店って「売る場所」じゃなくて「育てる場所」だと思っています。何かを買ってもらって終わり、じゃなくて、その人が自分の価値に気づいて、自分の言葉で語れて、自分で前に進めるようになる。そこまでいけたら、いちばん嬉しい。そのためには、こちらが答えを渡して依存してもらうんじゃなくて、一緒にやってみて、うまくいった感覚をその人自身に持ってもらうことが大事なんですよね。

もちろん、自分で全部やるのは、しんどいこともあります。人にすすめる前に自分たちが先に試すぶん、うまくいかない部分も自分たちでかぶることになる。思いどおりにいかない日も、正直あります。それでもこのやり方を変えないのは、やめた瞬間に、人に何かを伝える資格みたいなものが、少し薄くなってしまう気がするからです。

実感のこもった言葉は、伝わる

たとえば、飲食店の店員さんが「これ、僕も食べましたけど本当においしいですよ」と言ってくれたら、つい頼みたくなりますよね。でも、メニューの文章をただ読み上げられただけだと、そこまで心は動きません。友だちに映画をすすめるときも同じで、本当に観て心が動いた作品をすすめるときは、自然と言葉に熱がこもります。

自分が本当にやってみたことなのか、どこかで聞いた話をそのまま渡しているだけなのか。その違いは、言葉の重みになって、ちゃんと相手に伝わります。完璧な成功談より、「この人も同じところでつまずいたんだ」と分かるほうが、なぜか安心できて、心に残る。

誰かに「これ、良かったよ」と伝えるとき、自分が本当にやってみたあとのひとことは、なぜか軽くて、あたたかい。tone villageは、そんな手渡しを、今日も店先で続けています。

明日の暮らしが、ちょっと楽しみになりますように。