tone village
Instagram Threads

仕事の名前と、本当にしていること

こんにちは、中村です。

この記事は音声でもお楽しみいただけます。

YouTubeで聴く

お仕事は何をされているんですか。そう聞かれたとき、たいていは短い名前で答えます。デザイナーです。美容師です。営業です。先生をしています。

相手にはそれで伝わります。ただ自分のしていることが全部そこに入っているかというと、たぶん入っていません。

名前にならない時間のほうが長い

僕はデザインの仕事を長くしています。名前のとおりなら、絵をつくったり、形を整えたりしているはずです。

でも一日を振り返ると、一番長いのは人の話を聞いている時間でした。

何を伝えたいのかを一緒に整理する。ご本人が気づいていない良いところを見つける。頭の中にある、まだ形になっていないものを言葉にしてみる。たくさんある道の中から、どれを選ぶかを一緒に考える。そのうえで、形にしていく。

つくるのは、最後にありました。最後だけれど、全部ではなかった。

これはたぶん、どの仕事でも同じだと思います。

美容師さんの仕事は、髪を切ることだけなのか。そこで話す時間や、鏡の前で気持ちが上がる感じは、仕事のうちに入っていないのか。カメラマンさんの仕事は、シャッターを押すことだけなのか。学校の先生の仕事は、知識を教えることだけなのか。

仕事の名前と、本当にしていることは、必ずしも同じではありません。

名前で呼ぶと短くなりすぎる

短い名前は便利です。名刺にも書けるし、一言で伝わる。

ただ、自分のことまで短い名前で理解してしまうと、少しもったいない気がします。自分がしていることの、一番手のかかっている部分が、その名前からこぼれ落ちているかもしれないからです。

こぼれ落ちた部分こそ、その人が選ばれている理由だったりします。

あの人にお願いしたい、と言われるとき、理由は技術だけではないことが多いです。話しやすい。安心する。こちらの言いたいことを、先に言葉にしてくれる。そういうものが、名前の外に置かれたままになっています。

ときどき中身のほうで言ってみる

最近、自分の仕事を名前ではなく中身で言ってみることがあります。

デザインをつくる人です、ではなく、その会社が伝えたいことを一緒に見つけて形にする人です。長いし名刺には入りません。でも自分がやっていることには近い。

言ってみると、ふだん何に時間を使っているのかが、自分でも少し見えてきます。ここは自分がやらなくてもいいところだな。ここは自分が一番役に立てるところだな。

どんな仕事にも、名前に入りきらない部分があります。そこにあるものは、たいてい、その人らしさと呼ばれているものです。

お仕事は何をされているんですか。今度そう聞かれたら、名前で答えたあとに、心の中でもう一言だけ足してみようと思っています。自分は、誰の何を助けている人なのか。