仕事に前向きになれたり、自分の可能性にちょっと期待が持てたり、明日が少し楽しみになったり。
そんなポジティブな気持ちのきっかけになる本を紹介していく「トンビレ文庫」です。
二冊目「生きのびるための事務」

著:▶︎坂口恭平/マガジンハウス
あらすじ
「どうせ、最後はうまくいく」
やりたいことがあるなら、大丈夫。
夢はきっと、実現させられる。
そのためには、どんな行動が必要?どんなふうに実践していけばいい?
ジムは、「やりたいことで生きていく」を実現するための、道筋を示してくれる最強の相棒。
ジムと設定する「うまくいく方法」だけを実践していけば、「どうせ、最後はうまくいく」んです。
僕:建築家・作家・アーティストなど様々な肩書きを持つ、著者である坂口恭平さん。
ジム:事務を研究し続けている風変わりな少年(?)ある日、将来に悩む「僕」の家に転がり込んできた。やりたいことで生きていくための「事務」の使い方を、すぐに実践できるシンプルさで教えてくれる、頼もしい自由人。
夢とかどうでもいい
強い言葉にハッとさせられました。
夢って、持った方が良いと思ってきたけど、そうじゃないんだ・・・と。
ジム曰く、10年後にどんなふうに過ごしているかをイメージできること、その具体的さが大事ということ。
夢は、将来の現実。現実は、具体的で手触りのある日常が作ります。
だから、夢を語るよりも、将来はどんな毎日を送るかを考えて行動することが近道なんです。
やり方は簡単。タイムマシン(!)を使うこと。
突然のタイムマシンの登場に面食らいますが、その正体はノートです。
ノートには、今の現実と将来の現実をみるために、「量」を明確に、具体的に書き起こします。
持っているお金、必要なお金。働くことや好きなことに使える時間。何時に起きて、何時に寝ているか。
そうやって具体的に表すことで、必要な行動が見えてくる。
行動が見えてきたら、動くことができる。夢は語るものではなく、今の現実の地続きにあるもの。
夢の前に現実があるんだから「夢とかマジでどうでもいい」と、真顔で言ってのけるジムが頼もしくて、1冊のノートがタイムマシンだということにも、信頼がおけるようになってきます。
「好きなこと」を考え、続けるためのジム
「僕」は、就職せずに好きなことで生きていきたいと考えていました。
文章を書いたり、歌をうたったり、絵を描いたり。
生きていきたい姿は明確でも、これがどうお金になるかは全然わからない。
でも、ひょんなことから居候となったジムが示してくれる「事務」を、ノートに現実を書くことから一つずつ実践していくと、
「なんだか楽しくなってきた」
と、考えが軽やかになって目的が明確になり、次々と行動を起こして可能性が広がっていきます。
お金なんて全然ないのに、本を出版することになったり、渡仏してパリの芸術誌で特集を組まれたり。
ジムが示す事務は、どこまでも具体的で実践的。そしてあくまで「自分の好き」を続けるためのもの。
他者の下す評価は気にしなくていい。自分のやりたいことができていることが「うまくいく」ことなんだと、背中を押してくれます。
幸せの軸は自分で決める
好きな文章を書いていきたい「僕」は、本を書くことと本を作ることは、イコールじゃないと気づきます。
書くことは、自分だけのもの。でも本になるかどうか、売れるかどうかは、他人が決めること。
そこに成功とか幸せの基準を置いてしまうと、いつまでも先へ進めません。
ジムが教えてくれるのは、評価は他人軸、行動は自分軸、という切り分け方。他人の物差しではなく、自分の物差しで「やりたいことをできている」と思えるかどうか。
評価は気にせずに、まずは行動してみて、自分がしっくりこなかったらやめる。
うまくいく方法だけを続ければいい。
だから、事務には失敗がない、「どうせ最後はうまくいく」という理屈なんです。
強引だけど、ポジティブで頼もしい。
夢とか成功とか、漠然としたことばに怯んでしまうとき、
「ずっと続けたい好きなこと」から考えてみるのはどうでしょうか。
ジムはそれを見つける手助けもしてくれるはず。
やりたいことはあるのに、どう行動すればいいのかわからない。
そんな人もぜひ、この本を手にとってみてほしいと思います。



