こんにちは、中村です。
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お仕事は何をされているんですか。そう聞かれたとき、たいていは短い名前で答えます。デザイナーです。美容師です。営業です。先生をしています。
相手にはそれで伝わります。ただ自分のしていることが全部そこに入っているかというと、たぶん入っていません。
名前にならない時間のほうが長い
僕はデザインの仕事を長くしています。名前のとおりなら、絵をつくったり、形を整えたりしているはずです。
でも一日を振り返ると、一番長いのは人の話を聞いている時間でした。
何を伝えたいのかを一緒に整理する。ご本人が気づいていない良いところを見つける。頭の中にある、まだ形になっていないものを言葉にしてみる。たくさんある道の中から、どれを選ぶかを一緒に考える。そのうえで、形にしていく。
つくるのは、最後にありました。最後だけれど、全部ではなかった。
これはたぶん、どの仕事でも同じだと思います。
美容師さんの仕事は、髪を切ることだけなのか。そこで話す時間や、鏡の前で気持ちが上がる感じは、仕事のうちに入っていないのか。カメラマンさんの仕事は、シャッターを押すことだけなのか。学校の先生の仕事は、知識を教えることだけなのか。
仕事の名前と、本当にしていることは、必ずしも同じではありません。
名前で呼ぶと短くなりすぎる
短い名前は便利です。名刺にも書けるし、一言で伝わる。
ただ、自分のことまで短い名前で理解してしまうと、少しもったいない気がします。自分がしていることの、一番手のかかっている部分が、その名前からこぼれ落ちているかもしれないからです。
こぼれ落ちた部分こそ、その人が選ばれている理由だったりします。
あの人にお願いしたい、と言われるとき、理由は技術だけではないことが多いです。話しやすい。安心する。こちらの言いたいことを、先に言葉にしてくれる。そういうものが、名前の外に置かれたままになっています。
ときどき中身のほうで言ってみる
最近、自分の仕事を名前ではなく中身で言ってみることがあります。
デザインをつくる人です、ではなく、その会社が伝えたいことを一緒に見つけて形にする人です。長いし名刺には入りません。でも自分がやっていることには近い。
言ってみると、ふだん何に時間を使っているのかが、自分でも少し見えてきます。ここは自分がやらなくてもいいところだな。ここは自分が一番役に立てるところだな。
どんな仕事にも、名前に入りきらない部分があります。そこにあるものは、たいてい、その人らしさと呼ばれているものです。
お仕事は何をされているんですか。今度そう聞かれたら、名前で答えたあとに、心の中でもう一言だけ足してみようと思っています。自分は、誰の何を助けている人なのか。



