tone villageは、訪れる人の「仕事や人生を、すこし面白くする」場所になることを目指しています。
たくさんの時間を費やす仕事を楽しむことができれば人生が面白くなってくる。
そのきっかけをこの場所でつかんでもらいたいな、と考えているんです。
ここ「トンビレ文庫」では
仕事に前向きになれたり、自分の可能性にちょっと期待が持てたり、明日が少し楽しみになったり。
そんなポジティブな気持ちのきっかけになる本を紹介していきます。
一冊目「あいにくあんたのためじゃない」

著:柚木麻子/新潮社 (書影は特設サイトよりお借りしました)
あらすじ
仕事に、育児に、偏見に、将来に……誰もが一度は悩んだことがあったり、どこか思い当たるところがあったり、社会的課題だったりと、「わかる」とうなずき共感できるテーマに、それぞれ悩みながら奮闘する姿がパワフルに描かれる6つの作品からなる短編集。
帯に書かれた「強炭酸エナドリ短篇集」という言葉そのままに、読み終わったあとにはスカッと元気が湧いてきます。
道を拓くのは自身の力
なかでも特に元気をもらえておすすめしたいのが、
逆境をバネに自分自身を開花させる「めんや 評論家お断り」と、ママたちのミッションインポッシブル「パティオ8」という作品です。
前者の「めんや 評論家お断り」は、心無い行為に傷つけられた人たちのレジリエンス。
全方位型淡麗系ラーメンの先駆者「のぞみ」が業界の覇者となったのは、とある炎上ブロガーに負けたくないと集った「弱者」たちの復讐だった・・・というあらすじ。
「復讐」といっても、全然ジメジメしていなくて、前を向きたい、強くなりたい、自信を付けたいという自分のための前向きなベクトルで、とにかく力強い!それぞれが努力してできることを探し、やるべきことから逃げずに、前へ進み、押しも押されもしない存在となる姿が最高にかっこよくて。
負けたくない、見返してやりたい、逃げたくない。生きていると、そんなふうに現実を変えたいと思う場面がたびたびやってきます。そんなときに、彼らのようにエンパワーメントできたら・・・と勇気をもらえます。
そして「パティオ8」は、緊急事態宣言や自粛ムードに誰もがストレスを溜め込んでいたコロナ禍が舞台。中庭を囲む集合住宅「パティオ6」に暮らすママたちの奮闘を描いた物語です。
ハイライトは、「家庭用ミラーボール付きカラオケマイクを海外のCEOに売り込む」という、一見突飛な作戦。そこからの展開にとにかく引き込まれます。
お弁当屋さんで培ったリサーチ力でターゲットを絞り込み、家電量販店での経験をもとに「刺さる」提案をし、エンジニアの技術でプレゼン資料を仕上げ、磨き抜いた歌声で魅了し、翻訳家の語学力でコミュニケーションを支える。それぞれが自分のスキルを総動員して、荒唐無稽に思えた作戦を実現していく様子は、読んでいて思わず胸が熱くなりました。
広がる可能性と高まる期待感
「私にはこれができる」と胸を張って言える人は、そう多くないかもしれません。日々の仕事の中で、自分の能力を「たいしたことない」と思ってしまうことだってあるかもしれない。
けれど、視点が変わったり、環境が変わったりすることで、それが特別で強い武器になることもあるんです。
この本を読むと、自分にも何かできることがあるのかも——!?そんなふうに、少し前向きな気持ちになれます。
そしてもうひとつ。一人ひとりが違う力を持っているからこそ、力を合わせることで、一人では動かせなかったものが動く、ということにも改めて気付かされます。パティオ6のママたちの「カラオケマイク売り込み大作戦」は、まさにチームワークの勝利でした。
仕事もきっと同じはず。自分の力を信じて、そして隣にいる人の力も信じることで、無理だと思えた課題を乗り越えていけるのかもしれません。
すこし暑苦しいことを書いてしまいましたが、サクッと楽しく読めるエンタメ小説です!
とにかく元気が出る本を読みたい、そんな方にお勧めしたい一冊です。
(コミカライズもされていました!漫画の方も気になります)
▶︎「あいにくあんたのためじゃない」特設サイト
https://www.shinchosha.co.jp/special/aitame/
柚木麻子さんの作品で描かれる女性は、いつもパワフルでカッコいいです。「仕事ができる上司」に鼓舞される「ランチのアッコちゃん」もおすすめです。



