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TONE JOB|2023.8.10
Contents
「好き」と向き合い楽しむこと、新たな「好き」と出会うこと、時間を「好き」に使うこと、「好き」を仕事にすること・・・ その人が願う「好き」にまつわるあれこれを叶えて、その人らしく輝く人生を応援したい。
そんな思いからつくられた『tone village』。
TONE JOB シリーズでは、「好き」を叶えるための多種多様な働き方を、さまざまな職種の方へのインタビューを通してご紹介いたします。
第2回目のゲストは、アプリコットデザインで働くつっきーさん。つっきーさんは農業法人出身のデザイナーです。デザインを通して農家さんをサポートしたり、「coron farm project」を立ち上げ農業の魅力を広く伝える活動をしています。
今回はつっきーさんに農業との出会い、今後の目標などをお伺いしました。
僕は今、白馬村で暮らしながらアプリコットデザインでデザイナーの仕事をしています。
農業系デザイナーという肩書きは、僕が農業法人で働いていた経験から農家さんをデザイン面や集客の面でサポートをさせていただいているところからきています。
僕は千葉県出身でもともとは長野県にゆかりもなかったですし、農業法人で働く以前は一般消費者として農作物を買う立場だったので「農業」に対してそこまでの熱い想いというものはありませんでした。しかし、2つのターニングポイントを経て、現在はデザインを通して大好きな農業に関わるお仕事をさせていただいています。
まずターニングポイントの一つ目ですが、それはアウトドア・白馬村との出会いです。
僕は大学時代、プロダクトデザインを学んでいました。
工業製品のデザインではデザイン性だけでなく機能性も求められるため、課題を解決するためのデザインとして“デザインがなにであるか”をたたきこまれました。
「デザインは自己満足でやる作業ではない」「デザインは誰かの役に立つものである」というデザイナーとしての使命を考えさせられ、その考えは今の僕にも通じています。
そして大学4年のとき、就職活動の悩みから現実逃避と卒業制作をかねて山奥へサバイバル生活に出向いたんです。教授には、「知恵と道具がうまれる瞬間を研究してきます!」と伝えて。
僕はキャンプや登山をしたことがありませんでしたが、模索しながらサバイバル生活をおこない、その出来事を記録した冊子を携えてアウトドアメーカーの採用面接を受けたところ、なんとか無事内定をもらうことができました。これが僕のアウトドアとの最初の出会いです。
そして入社後に配属されたのが長野県にある店舗。そこではアウトドアに明け暮れる日々を過ごしました。特にスキーに熱中していたので、毎週のように白馬へ遊びに行っていましたね。
その後は都市部にある本社へ異動しデザインの部署で働くことになりましたが、都会で仕事をするうちに長野県での生活を思い出すようになってしまって。
「白馬に住みたい」という気持ちが募って、思い切って仕事をやめて白馬に移住することを決めました。僕が26歳のときです。
白馬に移住する際、ひとつの選択肢として起業も考えていました。でも、起業をするにはまだまだ経験や知識が足りなかったこともあり、勉強もかねて白馬村の農業法人で働くことにしたのです。
これが僕のターニングポイントの二つ目です。
それまでは農業が何をやる仕事かも知らなかったし、「農作物は買うもの」というイメージだったので僕にとってはまさに未知の世界・未知の人たちの中へ飛び込んでいく感覚でした。
そこではパッケージデザインなどデザイン業務も担当していましたが、7割は農作業をしていましたね。
トラクターで畑を耕したり、田んぼの草むしりをしたり、苗の管理をしたり。
いろいろな経験をするうちに「農業は自分にあっている」と思うようになり、農業の魅力に惹かれていきました。
それに農作業はチームプレーなので、仲間意識が強いんです。
仲間とともに汗をかき、作物の生長を願い、そして収穫のよろこびを分かち合う。
同じ目標に向かって取り組むことで、仲間との絆も深まっていきました。
ただ、大好きな農業の仕事をしながらも、働くうちに僕が作ったパッケージなどのデザインが成果に繋がっているのか確証を持てなくなってしまって。
仲間とともに作った農作物を売っていくためには、デザイナーとしてのスキルをあげなければいけないと思い、デザイン会社へ転職をすることにしました。そのデザイン会社が、今働いている「アプリコットデザイン」です。
農家さんから制作の依頼があった際は、まずはヒアリングに伺い、農場や作物がもつ魅力を見つけ出すところからスタートします。
特にヒアリング段階では、そこで働いている方がどんな人柄であるか、農地やハウスの状態、物販があれば価格など細かいところまで観察をするようにしていますが、それは“おいしい以上に選ばれる理由”を見出すためです。
たとえば長野県にはブドウ農家さんがたくさんあるので、シャインマスカットがおいしいのって当たり前の認識ですよね。
そういう環境の中で、選ばれる理由を打ち出すためにはストーリーをデザインで表す必要があるんです。
だから、生産者さんの想いやストーリーをデザインで伝えることで、商品だけでなく農家さんのことも好きになってもらいたいという想いがあります。
また、生産者さんと消費者さんがつながれるデザインを目指し、配慮もしています。
ターゲットを見誤ってしまうと届けたい人に届かなくなってしまうので、生産者さんが持っている想いと、その想いをいいなと思ってくれる消費者さんをつなげられるように、ヒアリングでは農家さんがどういう層に売っていきたいかを聞くこともありますし、逆に僕から提案することもありますね。
僕はこれからもきっと農業が大好きなんだと思います。
生涯で関われる農家さんの数は少ないかもしれないけれど、デザインの力で農業の魅力を広く伝え続けたいし、ひとりひとりの農家さんが輝ける世界にしたいです。
そしてその第一歩として「coron farm design」というプロジェクトを始めました。このプロジェクトは、デザインとブランディングの力で農業の魅力を伝え続けるプロジェクトです。
僕は過去に、自信を持って育てた野菜や果物を望むかたちで届けることができなかった苦い経験をしています。
ひとことで言えば、差別化を図り、適正な価格で売ることができなかったということ。
当時の僕は、農場の紹介やPRをする際に「自分たちは何者なのか」を伝えることができませんでした。
それは、自分たちの価値を見つけて、言語化、そして具現化する力がなかったから。
だからその経験をばねに、アプリコットデザインで技術と知識を身につけました。
これからは、一人ひとりの農家さんが自分の価値を見つけられるようにしたい。その価値を消費者さんに伝えることで、価格ではない選ばれ方や出会いを作っていけたらと思います。
厚かましいかもしれないけれど、勝手に仲間意識のようなものを感じているのかもしれません。仲間意識があるから応援したいし、何か力になりたい。
今後は、資材費の高騰や異常気象などの理由で、農家さんにとってますます厳しい時代になっていくと思います。
だから、ひとりの“農業が大好きな男”として、農業全体を元気にしていければいいなって思っています。
▼「coron farm design」の詳細はこちらから
(記事:tone village メディア編集部 はち)
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