こんにちは、中村です。
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棚の前で、動けなくなる
パン屋さんで、棚の前から動けなくなったことはないでしょうか。
どれもおいしそうで、どれを取ってもいい。それなのに、なかなか手が伸びない。後ろに人が来ると、とりあえずいつものを取ってレジに向かう。僕はよくやります。
あれは優柔不断だからではなくて、たぶん誰にでも起きることなんだそうです。
ジャムを二十四種類、並べてみた話
スーパーの試食コーナーで、ジャムを並べて調べた実験があります。
ある日は二十四種類、別の日は六種類だけ。人がよく足を止めたのは、二十四種類の日でした。にぎやかで、目を引くからだと思います。
ところが、実際に買って帰った人は、六種類の日のほうがずっと多かったそうです。その差は十倍。
たくさんあると、もっといいものがあるかもしれない、と思います。選び違えたらもったいない、とも思う。それで、決められないまま棚を離れる。欲しくなかったわけではなくて、間違えたくなかっただけなんですね。
減らさずに、きっかけだけ置く
あるパン屋さんの話を聞いたことがあります。棚には六十種類が並んでいて、お客さんが入り口で立ち止まっている時間が長かった。
その方がやったのは、レジの横に小さなボードを出して、今日のおすすめを三つ書くことでした。
パンは一つも減らしていません。三つから選んでもいいし、棚から好きなものを選んでもいい。ただ、そこから始められるようにした。それだけで、迷っている時間が短くなったそうです。
おすすめがあると、それを起点にして、じゃあこれも、と広がっていきます。まっさらな棚の前に立つより、とっかかりが一つあるほうが、体は動く。そういうことなのだと思います。
暮らしのなかにも、たぶんある
この話を知ってから、自分の暮らしのほうも少し気になりました。
やりたいことをたくさん書き出した日ほど、結局どれも始まらない。休みの日にどこへ行こうかと考えているうちに、夕方になっている。選べる状態が、そのまま動ける状態とは限らないのだな、と思います。
だから最近は、迷いそうな日に、三つだけ決めておくようにしています。全部やらなくてもいい。三つの中から一つ始まれば、その日はもう動き出しています。
選ばせないのではなく
数を絞ると聞くと、自由が減るように感じるかもしれません。
でも、六十種類は棚にあるままです。おすすめの三つは、そこから始めるための手すりのようなもので、そこを通らなくてもいい。
選択肢を減らすのは、その人を信じていないからではなくて、動きやすいようにすること。僕はそう思っています。
今日よりも明日が、ちょっと楽しくなりますように。



