こんにちは、中村です。
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お店の黒板や、手作りのメニュー表を見ていて、なんとなく読みにくいな、と感じることがあります。書いてある内容は分かるのに、目がすべってしまう。
作った本人がいちばん気にしているところだったりします。がんばって書いたのに、なぜかしっくりこない。
こういうとき、たいていの人は文字を大きくします。大事なところを太くして、色を変えて、線を引く。よかれと思ってやるのですが、やるほど読みにくくなっていく。
読みにくさの原因が、そこではないからです。
見るのは四か所だけ
文字まわりで見る場所は、四つしかありません。書体の数、大きさ、行と行のあいだ、文字と文字のあいだ。
そして、そのどれにも目安の数字があります。感覚で決めるものだと思われがちですが、決まっているのです。
書体は、二つまで
一枚の紙の中で、見出しと品名と値段がぜんぶ違う書体になっていることがあります。ひとつずつはきれいなのに、並ぶと落ち着かない。中身は何も変わっていないのに、まとまりだけが欠けて見えます。
うちの資料は、二つと決めています。文章に使うものと、値段や日付に使うもの。数字を日本語の書体で打つと、どこか間延びして見えるからです。役割で分けると、自然に二つになります。
決めておくといいことがあって、何を作るときも書体を選ばなくて済みます。迷う時間がなくなる。
小さくしても、載らないものは載らない
紙一枚に収めたくて、文字をどんどん小さくしてしまうことがあります。
ワードの初期設定は十・五ポイントで、だいたいそのあたりが下限だと思ってもらうといいです。九ポイントまで落とすと、たしかに収まります。でもそれは、収まったのではなく、読まれなくなっただけなのだと思います。
入らないときは、文字を小さくするより、文を減らすか、二枚に分けるほうがいい。手に取った人は、机に置いたまま少し離れて読みます。近づかないと分からない大きさだと、その時点で読むのをやめてしまう。
行のあいだを空けるだけで、変わる
四つのうち、いちばん変わるのが行間です。
行の高さは、文字の大きさの一・八倍から二倍。詰まっていると、文字の壁みたいに見えて、読む前にうっとなります。
空いていると、目が次の行の頭に戻れる。詰まっていると、読み終わった行の下に戻ってしまって、同じところを二回読むことになります。
ひな形をそのまま使って、なんだかしっくりこないときも、疑うのはここです。もとが英語向けに組まれていると、日本語を流し込んだ途端に窮屈になります。
文字と文字のあいだも、少しだけ
最後は、字間です。ゼロにしない。一文字の六パーセントくらい空けます。
細かい話に聞こえますが、日本語は漢字とひらがなが混ざるので、詰めると息が詰まって見えます。少し空けるだけで、やわらかくなります。
色を足すより、塗る
強調も、増やすほど弱くなります。一枚の中で三か所が赤くて太いと、どこから見ればいいか分からなくなる。全部同じ強さに見えてしまう。
だから、強調は一種類に決めておく。うちは色を足すのではなく、見てほしいところを塗るようにしています。色を増やさなくても、目は塗ったところに行きます。
五分で、ひととおり
手元にある紙を、一枚だけ出してみてください。書きかけでも、去年のものでもかまいません。
使っている書体を数えて、三つ以上あったらひとつ減らす。本文が十一以下なら十二に上げる。紙なら十・五。行間を一・八倍にする。字間を少し空ける。
文章は、一字も触りません。それでも、ずいぶん読みやすくなります。触らないほうが、文字だけで変わったことがはっきり分かります。
書いた言葉はそのままで、届き方だけが変わる。そういうことが、けっこうあるのだと思っています。



