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あれは、勤め先の信用を借りていた

こんにちは、中村です。

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今日は、独立して初めて知ったことの話を書いてみます。ちょっと情けない話も入りますが、たぶん、勤めている方には意外な話だと思うので。

審査に、落ちました

会社を作って一年くらい経ったころ、人が増えたので事務所を借りようとしました。

良さそうな物件が見つかって、すぐに申し込みました。ここでやっていこう、と思っていたんです。

審査に落ちました。

設立して一年の会社だったので、通らなかったんですね。

このとき僕は、自分に社会的な信用が一切ないという現実に、初めてぶつかりました。結局、個人の名義で審査し直してもらって、連帯保証人をつけるという条件で、ようやく借りられました。

あれは、借りていたものだった

会社員だったころ、こういうことを考えたことは一度もありませんでした。

部屋も借りられるし、カードも作れる。何かの申し込みで断られた記憶もない。それが当たり前だと思っていました。

でも、あれは僕の信用ではなかったんですよね。

勤め先の信用を、借りていたんです。

これは、良い悪いの話ではなくて、ただ、そういう仕組みだったというだけのことです。ただ、借りていたことに気づかないまま返してしまうと、けっこう驚くことになります。

見えていなかった仕事も、たくさんありました

似たようなことが、ほかにもありました。

独立してから、請求書を作って、支払いをして、保険の手続きをして、という時間がすごく増えたんです。デザインの仕事がしたくて独立したのに、デザインをしている時間がいちばん短い。そんな日々でした。

これも、あとから考えると当たり前でした。

会社にいたときも、請求書は発行されていましたし、入金の確認も、保険の手続きも、備品の発注も、全部誰かがやっていたんです。ただ、僕がやっていなかっただけで。

だから、そういう仕事があること自体を、知りませんでした。

独立すると、その誰かがいなくなります。仕事が増えたというより、それまで見えていなかった仕事が、急に全部見えるようになった、という感じでした。

いま思うこと

こういうことを書くと、独立は大変だからやめたほうがいい、と言っているように聞こえるかもしれませんが、そういうつもりはありません。

むしろ、いま誰かに支えてもらっているものが、案外たくさんあるんだな、ということのほうを書きたかったんです。

働いている場所があって、そこに誰かがいて、自分が知らないところで回してくれている。それは、いるときには見えません。

これは会社に限った話でもないと思っていて。家のことも、地域のことも、たぶん似ています。自分がやっていないことは、そもそも存在に気づかない。

僕は独立して、それを一つずつ自分でやることになって、ようやく気づきました。ずいぶん遠回りな気づき方だったなと思います。

ただ、気づいてよかったな、とも思っています。

いま自分が当たり前に受け取っているものの中に、誰かが用意してくれたものがどれくらいあるか。ときどき数えてみると、けっこう出てくるかもしれません。