こんにちは、中村です。
この記事は音声でもお楽しみいただけます。
長野市の tone village に、空と風というトリミングサロンがあります。ひとつの場所に五つの店が集まっていて、そのうちの一軒です。
この店には、はじめて来てくださったわんちゃんをその日に切らない、という決まりがあります。切らない理由は、名前と同じところから来ているのだと僕は思っています。
まず二十分だけ離れてみる
初めてのご来店では、初回体験プランというものをお願いしています。飼い主さんと離れて過ごす練習を、まず少しだけしてみる時間です。
自己紹介をしたり、おもちゃで遊んだり、そばで見守ったりします。ここがどういう場所かを、まず知ってもらう時間です。そのあいだに、その子の性格や、健康の状態や、これまでどんなふうにお手入れしてきたかを詳しく伺う。そこで一緒に、これからのトリミングの進め方を決めていきます。
実際に切りはじめるのは、二週間後。
最後に来てから一年以上あいた子にも、同じように、場所とスタッフを思い出してもらう時間をお願いしています。一年あくと、初めての日とあまり変わらないからです。
売上のことだけを考えたら
売上のことだけを考えたら、その日に切ったほうがいいに決まっています。
それでもこうしているのは、特別な一日をつくる店ではなくて、ずっと続く日常のほうに居たいからです。この店が自分で言っている一文は「特別な日常ではなく、穏やかでずっと続く日常を」です。たぶんここから外れられません。
名前もその一文から出てきました
空と風という名前も、この一文から来ています。
ふと見上げた空と、やわらかく吹く風。どちらも、これといって特別なことはしていません。それでも、いつもそこにあります。うれしい日も、つらい日も、さりげなく傍にいてくれる。わんちゃんと飼い主さんの関係も、そういうものだよなと思ったんです。
この名前は、本当に迷わなかったんです。一文ができあがってから、ぱっと浮かびました。これ以外にないな、という感じでそのまま決まっています。
置いてあるものも同じところから
大型犬のわんちゃんは、お受けしていません。受けられる数を増やすより、一頭ずつに時間をかけるほうを選びました。
歯磨きに使うブラシは、環境に配慮した竹のもの。光マイクロバブルの温浴を用意しているのも、見た目をきれいにするためというより、体を整えるためのものになっています。売上の一部は、支援している団体さんに寄付しています。
目の前の一頭をきれいにするだけの仕事だと思っていたら、どれもやっていないんじゃないかと思います。
名前が働いているということ
やっていることと、言っていることと、名前が、同じほうを向いている。名前が働くというのは、こういう状態のことなのかなと思います。
新しい話が来たときにも、あの一文に合うかどうかで見られます。迷ったときに戻る場所がある、と言ってもいいかもしれません。
穏やかで、ずっと続いて、いつもそこにある。その言葉の先に、空と風がありました。



